平成23年6月24日 法律第74号/第2条

提供:法政典

条文

刑事訴訟法の一部改正)

第2条
刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の一部を次のように改正する。

第99条第1項の次に次の1項を加える。

差し押さえるべき物が電子計算機であるときは、当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、当該電子計算機で作成若しくは変更をした電磁的記録又は当該電子計算機で変更若しくは消去をすることができることとされている電磁的記録を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから、その電磁的記録を当該電子計算機又は他の記録媒体に複写した上、当該電子計算機又は当該他の記録媒体を差し押さえることができる。


第99条の次に次の1条を加える。
第99条の2
裁判所は、必要があるときは、記録命令付差押え(電磁的記録を保管する者その他電磁的記録を利用する権限を有する者に命じて必要な電磁的記録を記録媒体に記録させ、又は印刷させた上、当該記録媒体を差し押さえることをいう。以下同じ。)をすることができる。

第106条中「差押又は捜索は、差押状」を「差押え、記録命令付差押え又は捜索は、差押状、記録命令付差押状」に改める。

第107条第1項中「差押状」の下に「、記録命令付差押状」を加え、
「差し押えるべき物」を「差し押さえるべき物、記録させ若しくは印刷させるべき電磁的記録及びこれを記録させ若しくは印刷させるべき者」に改め、
同条第2項中「前項の差押状」を「第1項の差押状、記録命令付差押状」に改め、
同条第1項の次に次の1項を加える。

第99条第2項の規定による処分をするときは、前項の差押状に、同項に規定する事項のほか、差し押さえるべき電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、その電磁的記録を複写すべきものの範囲を記載しなければならない。


第108条第1項中「差押状」の下に「、記録命令付差押状」を加え、
同項ただし書中「但し」を「ただし」に、「裁判所書記」を「裁判所書記官」に改め、
同条第2項及び第4項中「差押状」の下に「、記録命令付差押状」を加える。

第109条中「裁判所書記は、差押状」を「裁判所書記官は、差押状、記録命令付差押状」に改める。

第110条中「差押状」の下に「、記録命令付差押状」を加え、
同条の次に次の1条を加える。
第110条の2
差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒体であるときは、差押状の執行をする者は、その差押えに代えて次に掲げる処分をすることができる。公判廷で差押えをする場合も、同様である。
第1号
差し押さえるべき記録媒体に記録された電磁的記録を他の記録媒体に複写し、印刷し、又は移転した上、当該他の記録媒体を差し押さえること。
第2号
差押えを受ける者に差し押さえるべき記録媒体に記録された電磁的記録を他の記録媒体に複写させ、印刷させ、又は移転させた上、当該他の記録媒体を差し押さえること。

第111条第1項中「差押状」の下に「、記録命令付差押状」を加え、「差押又は」を「差押え、記録命令付差押え又は」に改め、同条の次に次の1条を加える。
第111条の2
差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒体であるときは、差押状又は捜索状の執行をする者は、処分を受ける者に対し、電子計算機の操作その他の必要な協力を求めることができる。公判廷で差押え又は捜索をする場合も、同様である。

第112条第1項中「差押状」の下に「、記録命令付差押状」を加え、
「出入する」を「出入りする」に改め、
同条第2項中「終る」を「終わる」に、「附する」を「付する」に改める。

第113条第1項中「差押状」の下に「、記録命令付差押状」を加え、
同項ただし書中「但し」を「ただし」に改め、
同条第2項中「差押状」の下に「、記録命令付差押状」を加え、
同項ただし書中「但し」を「ただし」に改める。

第114条中「差押状」の下に「、記録命令付差押状」を加え、
「代るべき者」を「代わるべき者」に改める。

第116条中「差押状」の下に「、記録命令付差押状」を加える。

第117条中「左の」を「次に掲げる」に改め、
「差押状」の下に「、記録命令付差押状」を加え、
同条第2号中「出入する」を「出入りする」に改め、
同号ただし書中「但し」を「ただし」に改める。
第118条中「差押状」の下に「、記録命令付差押状」を加え、
「終る」を「終わる」に改める。

第120条中「保管者」の下に「(第110条の2の規定による処分を受けた者を含む。)」を加え、
「代るべき者」を「代わるべき者」に改める。

第123条第3項中「前2項」を「前3項」に改め、同条第2項の次に次の1項を加える。

押収物が第110条の2の規定により電磁的記録を移転し、又は移転させた上差し押さえた記録媒体で留置の必要がないものである場合において、差押えを受けた者と当該記録媒体の所有者、所持者又は保管者とが異なるときは、被告事件の終結を待たないで、決定で、当該差押えを受けた者に対し、当該記録媒体を交付し、又は当該電磁的記録の複写を許さなければならない。


第142条中「第112条乃至第114条」を「第111条の2から第114条まで」に改める。

第157条の4第2項中「物をいう。以下同じ」を「ものに限る」に改める。

第197条に次の3項を加える。
第3項
検察官、検察事務官又は司法警察員は、差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるときは、電気通信を行うための設備を他人の通信の用に供する事業を営む者又は自己の業務のために不特定若しくは多数の者の通信を媒介することのできる電気通信を行うための設備を設置している者に対し、その業務上記録している電気通信の送信元、送信先、通信日時その他の通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し、30日を超えない期間を定めて、これを消去しないよう、書面で求めることができる。この場合において、当該電磁的記録について差押え又は記録命令付差押えをする必要がないと認めるに至つたときは、当該求めを取り消さなければならない。
第4項
前項の規定により消去しないよう求める期間については、特に必要があるときは、30日を超えない範囲内で延長することができる。ただし、消去しないよう求める期間は、通じて60日を超えることができない。
第5項
第2項又は第3項の規定による求めを行う場合において、必要があるときは、みだりにこれらに関する事項を漏らさないよう求めることができる。

第218条第1項中「差押」を「差押え、記録命令付差押え」に、
「身体の」を「、身体の」に改め、
同条第2項中「前項」を「第1項」に改め、
同条第1項の次に次の1項を加える。
第2項
差し押さえるべき物が電子計算機であるときは、当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、当該電子計算機で作成若しくは変更をした電磁的記録又は当該電子計算機で変更若しくは消去をすることができることとされている電磁的記録を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから、その電磁的記録を当該電子計算機又は他の記録媒体に複写した上、当該電子計算機又は当該他の記録媒体を差し押さえることができる。

第219条第1項中「差し押えるべき物」を「差し押さえるべき物、記録させ若しくは印刷させるべき電磁的記録及びこれを記録させ若しくは印刷させるべき者」に、
「差押」を「差押え、記録命令付差押え」に改め、
同項の次に次の1項を加える。
第2項
前条第2項の場合には、同条の令状に、前項に規定する事項のほか、差し押さえるべき電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、その電磁的記録を複写すべきものの範囲を記載しなければならない。

第220条第2項に後段として次のように加える。

第123条第3項の規定は、この場合についてこれを準用する。


第222条第1項中「第99条」を「第99条第1項」に、
「乃至第105条」を「から第105条まで」に、
「乃至第112条」を「から第112条まで」に、
「乃至第124条の」を「から第124条までの」に、
「、第112条」を「、第111条の2、第112条」に、
「乃至第140条」を「から第140条まで」に改め、
同項ただし書中「但し」を「ただし」に、
「乃至第124条」を「から第124条まで」に改め、
同条第3項中「押収」を「差押え、記録命令付差押え」に改める。

第498条の次に次の1条を加える。
第498条の2
第1項
不正に作られた電磁的記録又は没収された電磁的記録に係る記録媒体を返還し、又は交付する場合には、当該電磁的記録を消去し、又は当該電磁的記録が不正に利用されないようにする処分をしなければならない。
第2項
不正に作られた電磁的記録に係る記録媒体が公務所に属する場合において、当該電磁的記録に係る記録媒体が押収されていないときは、不正に作られた部分を公務所に通知して相当な処分をさせなければならない。

第499条の次に次の1条を加える。
第499条の2
第1項
前条第1項の規定は第123条第3項の規定による交付又は複写について、前条第2項の規定は第220条第2項及び第222条第1項において準用する第123条第3項の規定による交付又は複写について、それぞれ準用する。
第2項
前項において準用する前条第1項又は第2項の規定による公告をした日から6箇月以内に前項の交付又は複写の請求がないときは、その交付をし、又は複写をさせることを要しない。